丸の内アニメーションラボ
制作日誌

秒速5リクエスト

『秒速5リクエスト』長編映画脚本完成:人間が考え、エージェントが実行する

手作業による最初の執筆、エージェント主導の改稿、そして制作エージェントに支えられた人間主導の第二稿を経て、長編映画の脚本が完成しました。

制作制作脚本

『秒速5リクエスト』長編本編の脚本が完成しました。

この数か月で、『秒速5リクエスト』の脚本を、まったく異なる二つの方法で二度完成させました。

最初の執筆は手作業で、粗いものでした。シーンを書き、三幕を進め、ページの上で映画の問題を解こうとしました。各シーンに長い時間がかかりました。3月にNotionでの執筆から 5rps-seisaku 制作リポジトリへ移行し、4月初めまでに脚本の一巡目を完成させ、その後も手作業で更新しました。手を動かしながら脚本を組み直している時期でもありました。

脚本にどこまで書くか

アニメーション制作から脚本へ移る中で難しかったのは、画面の情報をどこまで文章に含めるかという判断でした。これまでは、アイデアを絵コンテやアニマティックへ直接移し、カメラ位置、間、人物の芝居、情報を見せる順番を画面で考えることができました。

脚本では、その前に文章の工程が加わります。記述が少なすぎると、絵コンテに入る前に映像の意図が抜け落ちます。細部まで指定すると、今度はページが重くなり、脚本が絵コンテの仕事まで先取りしてしまいます。この加減を探ることが、最初の大きな課題でした。

下の修正には、その迷いがよく表れています。短いアクション段落が、オフィスのゲート、人物が手にしている物、前景と背景の位置関係、ガラスへの反射、移り変わる光、その次に見せるものまで含む長い記述になりました。アニメーション制作には役立つ情報です。ただ、今この段階で読者に必要な情報はどこまでか。何を絵コンテやアニマティックまで残すべきか。その線引きが問題でした。

映像の指示を脚本にどこまで書き、何を絵コンテまで残すかを検討しました。

そこでエンジニアらしく、普段の仕事で培ったハーネスエンジニアリングの「専門知識」を使い、もっとエージェント主体の工程を作ろうとしました。ハーネスを組み、脚本内の仕事を分担させるため、役割の異なるエージェントごとにプロンプトを書きました。

まず幕、シーン、シークエンス単位の細かな指示を用意し、エージェントにシーンの批評、シークエンスの改稿、脚本の圧縮、絵コンテ素材の再生成、全編の反復レビューを任せました。この時期について、Gitの履歴はかなり正直です。4月下旬から5月半ばまで、改稿、復元、批評、台詞修正、絵コンテの再生成、そして脚本を数値評価の目標へ近づけようとする別の試みが、履歴を埋めています。

エージェントは大量の作業を進められます。ファイルを追跡し、書式をそろえ、複数の版を比較し、疲れることなく何百件もの細かな変更を加えられます。しかし、出来上がった脚本は、自分たちが作りたい映画として腑に落ちませんでした。なぜその瞬間が映画に必要なのか。どれだけ間を置くべきか。人が実際に口にしたとき、その台詞が本当にその人物の言葉として響くか。こうした、プロンプトにするのが最も難しい部分が脚本から失われ始めました。

そこで、エージェントによる脚本の変更をすべて戻しました。全編をもう一度読み、映画に必要なものをシーンごとに判断し、改めて人の手で書き直しました。

コミットには、いくつかの巻き戻しと復元が残っています。自動生成された絵コンテREADME、第二幕のプレッシャー調整、第二幕の絵コンテ再生成、そして手作業で書き直すために復元した腹を割って話すシーンです。Procreateで全三幕を組み直し、物語の詳細はぼかしました。第二幕と第三幕の作業用ボードも同様です。

脚本を読むための制作環境

二度目の執筆では、レビュー用アプリが大きな助けになりました。長大な一つの文書にまとめることなく、映画全体を通して読み、該当箇所に正確なコメントを残し、脚本と絵コンテを行き来できる環境が必要だったためです。

そのため、制作ソースをアプリが直接読み込めるディレクトリ構成へ整理しました。

02_screenplay_storyboards/
├── act-01-<act-slug>/
│   ├── 01_act_summary.md
│   └── scene-01-<scene-slug>/
│       ├── 01_scene_summary.md
│       └── sequence-01-<sequence-slug>/
│           ├── screenplay.md
│           ├── storyboards/
│           │   ├── act1_scene1_sequence1_1.png
│           │   └── act1_scene1_sequence1_2.png
│           └── char/
│               └── <character-reference>.png

コメントは脚本の本文と分けて保存しています。文章へのコメントには、元ファイルのパス、選択した文章、同じ文章が何度目に出てくるかを示す出現位置、そして前後の短い文脈を記録します。絵コンテへのコメントは、元ファイルと画像パスを参照します。これにより、正式な制作フォルダからレビュー画面を作り直しても、再検討したい箇所を正確に残せます。

同じ制作ツリーから脚本とシークエンスごとの絵コンテを読み込むローカルレビューアプリです。

率直なコミットメッセージは、制作方法の修正をよく表しています。Codexを含むエージェントは、現在も調査、脚本ファイルの結合、書式の統一、概要の更新、文書の書き出し、連続性の確認、機械的な問題の検出などに関わっています。物語を判断し、シーンと台詞を書くのは私たちです。

この境界を見つけるまでに数か月かかりました。シーンが存在する理由までエージェントに任せず、進む方向が決まった後の制作作業を任せる。そのとき、エージェントは最も力を発揮しました。方向そのものを渡した時期には、ページ数が増える一方で、自分たちが見せたい映画から遠ざかっていました。

次の工程は絵コンテです。ここでも「人間が考え、エージェントが実行する」という方針を引き継ぎます。最初の絵は手で描き、エージェントには参考となる映画の映像、書籍、構図の調査や、制作環境の改善を手伝ってもらう予定です。

脚本執筆中と比べ、これからの映像作業は内容を明かさずに共有しやすくなります。今後は制作の様子を、もう少し定期的にお届けします。

原典:https://www.5rps.jp/news/20260711-screenplay-complete