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『秒速5リクエスト』絵コンテ制作中:脚本のメモからアニマティックへ

秒速5リクエスト

脚本から整理したビジュアルノートとロケーション調査を、グレースケールのラフコンテへ進めながら、動画モデルが連続性を失う場所も検証しています。

観客を前に舞台に立つ演者を描いた、グレースケールのラフ絵コンテ

長編本編の絵コンテ制作を始めました。現在は、脚本からビジュアルノートを作り、サムネイル、グレースケールのラフコンテ、最初のタイミング検証へ進めています。

脚本から画へ

各シークエンスでは、脚本を読みながら、監督が手作業でビジュアルノートと参考資料を整理しています。空間、リズム、演出を確認し、絵で解くべき問題を先に洗い出すための工程です。下の画像では、シンボル、モチーフ、トランジション、参考作品をそのまま掲載しています。

監督が手作業で整理したシンボル、モチーフ、トランジション、映画とアニメーションの参考資料を掲載したビジュアルノート。
監督が手作業で整理したシンボル、モチーフ、トランジション、参考資料。

この工程では、舞台設定も更新しました。最初のサムネイルは想像上の空間を前提にしていました。その後、実在する会場を調査し、出入口、階段、客席、モニター、視線の通り方に合わせて空間を組み直し、レイアウトに沿ってショットも調整しています。特定につながる情報は外しています。

会場名や物語を伏せ、モニター、客席、仮のカメラ位置を書き込んだ会場の間取り図。
実在する場所の調査後に、舞台設定とショット位置を再整理。特定につながる情報は外しています。

ウォームアップとラフコンテ

小さなサムネイルから描き始め、ウォームアップ、ラフコンテ、仮のつなぎへ進めています。この段階では、構図とタイミングを確認します。下のウォームアップは別作品で描いたもので、手を慣らしてから本作へ戻るために使いました。

タイミングと構図のメモを添えた小さな手描き絵コンテのサムネイル。
タイミングと構図を確認するサムネイル。
作画のウォームアップとして描いたグレースケールのパース練習。
別作品で描いたウォームアップ。本稿では制作工程の参考としてのみ掲載しています。

新しいラフコンテは、以前の想像上の舞台ではなく、調査した会場の構造に沿って描いています。同じ段階で、ショットの大まかな印象を確認するため、生成画像による可視化も試しました。これは一時的な参考であり、本編に使用する画ではありません。

調査した会場の構造に基づく、グレースケールのラフコンテ。
実在する会場の構造に合わせて舞台とショットを直したラフコンテ。
ショットの大まかな印象だけを確認するために生成したクラブ内の可視化画像。
可視化のための生成テスト。本編の最終フレームではありません。

テキストだけで動画を作る検証

秒ごとの動きを文章で指定し、テキストだけで一連の映像を生成するテストも行いました。動きや雰囲気の手掛かりは得られます。一方、シークエンスを通して見ると、人物の身体、衣装、小物、キャラクターデザイン、背景の位置関係が変化しました。

秒ごとの映像動作を記述した文章とキャラクターデザイン資料を並べた動画用プロンプト。
秒単位の動きとキャラクター資料をまとめた、テキスト中心のプロンプト。

以下の検証映像には著作権のある楽曲が含まれており、制作研究の参考資料としてのみ掲載しています。これらの生成映像は研究用の可視化であり、本編の最終的な作画、アニメーション、演出、編集ではありません。

最初の一括生成。動きは出ていますが、ショット間で人物、身体、衣装、空間の連続性が崩れています。
比較的使える断片を選んだ再編集版。編集で見やすくはできますが、生成時に失われた画面の連続性までは戻せません。
前景と背景の人物が交差した際に身体が混ざる生成映像。
人物が交差すると、前景と背景の身体が混ざります。
途中から靴ひもが追加され、デザインが変化した生成映像の寄り。
靴ひもが突然追加され、衣装の連続性が崩れています。
ダンスの寄りで脚の形と床への接地が崩れた生成映像。
ダンスの寄りで脚の形と床への接地が破綻しています。
二つのフレーム間で手と指の構造が変化している生成映像。
フレーム間で手の形と指の位置が変化しています。

この検証で、制作工程におけるAIの位置づけが明確になりました。AIは制作のための道具であり、作り手の代わりにはなりません。一貫したシークエンスには、背景、人物の構造、衣装、芝居、画面方向を設計し、維持できる作り手が必要です。ツールが速く身近になるほど、各画面を判断し、修正し、一つの映画としてつなぐための基礎力は、これまで以上に重要になります。

次はグレースケール絵コンテとCT

次の目標は、全編のグレースケール絵コンテを完成させ、仮の声を当ててCTを組むことです。海外では一般にアニマティックと呼ばれる工程です。映画全体をラフな状態で通して観ることで、レイアウト、原画、動画、仕上げへ進む前に、間、テンポ、カットを調整できます。

新しいツールで個別の作業を速くできても、構図、芝居、作画、背景、連続性を判断する基礎力は制作の土台として残ります。